前回の記事では領収書がない場合の経費計上の方法について紹介していきました。ですが、領収書がない場合の経費計上は大きなリスクがあります。後編では、そのリスクについて解説していきます。
法人決算を自分で行うデメリットは、以下の3点が考えられます。それぞれの項目について解説していきます。
そもそも領収書の再発行は難しい
ビジネスの上で領収書をやり取りすることは珍しくありませんが、領収書の再発行は簡単ではありません。経費を精算する際に領収書の提出が必要なのは、不正な経費請求を防ぐためです。
このことから、原則として領収書の再発行は行われません。 代金を受け取った側は、支払いを求める側からの請求があれば領収書を発行する義務がありますが、再発行に関しては義務付けられていません。
企業にとって領収書の再発行には不正利用のリスクが伴います。 再発行された領収書が経費の二重計上や架空請求に使われることがあり、再発行を求める側も提供する側も慎重な対応が必要です。 企業によってはルールとして再発行に応じない場合もありますので注意が必要です。
税務調査のリスクが高くなる
領収書がない状態で経費計上している場合、それが少なければ単純なミスと思われますが、金額が大きい場合や頻繁に領収書を紛失している場合は税務署からは良い印象を持たれず、税務調査が入るリスクが高くなります。これは、上記のとおり領収書の不正発行や架空の経費計上によって脱税を試みていると疑われるからです。
また、領収書などの帳簿類には7年間の保存義務があります。そもそも領収書を紛失していることがこの義務違反と捉えられるため、税務調査が入った場合には正しく書類を保管していない事業者として厳しくチェックされる可能性が高くなります。税務調査が入ると、場合によっては経費が認められず追徴課税が発生する可能性があります。
このように、領収書がない状態で経費計上することは大きなリスクに繋がる可能性を十分に考慮しておきましょう。
有印私文書偽造罪に問われる可能性がある
万が一、領収書の金額や内容に変更を加えた場合、「有印私文書偽造罪」が適用され、3ヶ月5年以下の刑罰以上の刑に処される可能性があります。金額を変更しただけでも「有印私文書変造罪」に問われますので、領収書を紛失した場合や発行してもらえなかった場合でも、絶対に偽造しないでください。
これまで2記事にわたって領収書がない場合の経費計上の方法やリスクについて紹介してきました。領収書を紛失した場合は出金伝票の発行等で代替できますが、税務調査のリスクが高まり、万が一領収書の金額を変更するなどの違法行為があれば罪に問われる可能性もあるので、領収書がない場合の経費精算についてはくれぐれも慎重に行なってください。
当事務所では領収書がない場合の相談はもちろん、領収書の管理や帳簿作成も行なっております。領収書の管理を適正に行いたい場合にはお気軽にご連絡ください。