事業についてどのように整理をするかを前回に記載しました。事業を展開する上で、我々は、お金、人、モノを無尽蔵に利用することはできません。特に、お金は調達して、それをどのように投資をするかは、事業を進めるうえでの重要な意思決定です。事業は継続反復して投資と回収を行っている活動と考えることができます。つまり、投資を一定の基準で評価をして意思決定を行うことが重要です。
以下、投資の意思決定の用いる方法について紹介をします。
① 単純回収期間法:投資額の回収期間を算定して安全性を検討
投資額を回収する年数を算定します。
(Aプロジェクト)
3,500(投資額)-1,500(1年目)-1,400(2年目)=600
600÷1,000(3年目)=0.6
2+0.6=2.6年
(Bプロジェクト)
2,500(投資額)-700(1年目)-800(2年目)-900(3年目)=100
100÷1,100(3年目)=0.09
3+0.09=3.09年
Aプロジェクトが、回収期間が短く安全と判断できます。
② 単純投下資本利益法:(投資による現金流入純額÷年数)÷平均投資額 で収益性を検討
(Aプロジェクト)
(1,200(現金流入額)÷4年)÷(3,500÷2)(平均投資額)=68.6%
(Bプロジェクト)
(1,000(現金流入額)÷4年)÷(2,500÷2)(平均投資額)=80.0%
Bプロジェクトが、収益性が高いと判断できます。
③ 正味現在価値法:投資による現金流入額の現在価値-現金流出額の現在価値
現在価値とは、期待収益率などの割引率で将来の金額を現在の価値に換算したものです。
現在の価値×(1+r)=1年後の価値
=> 現在の価値=1年後の価値÷(1+r)
2年度であれば(1+r)の2乗で割ることになります。
この割引により投資の評価に時間の要素を考慮することになり、理論的な計算方法です。資本コスト(割引率)を8%とした場合の現在価値は以下
の通りです。
(Aプロジェクト)
正味現在価値=471
(Bプロジェクト)
正味現在価値=357
Aプロジェクトが、リターンが高く有利と判断できます。
④ 正味現在価値指数法:投資による正味現在価値÷投資の現在価値額 で収益性を検討
(Aプロジェクト)
471(正味現在価値)÷3,500(投資額)=13.5%
(Bプロジェクト)
357(正味現在価値)÷2,500(投資額)=14.3%
Bプロジェクトが、収益性が高く有利と判断できます。
これ以外にも、内部利益率法など様々な方法があります。それぞれの長所短所を理解をして迅速な意思決定に利用します。
これらの情報は、会計(簿記)では扱わないデータです。しかし、不確実な将来に影響をする投資の意思決定を行う上で有用なツールです。
弊社では記帳代行だけではなく、経理代行業務を通じて、必要に応じて投資意思決定(ファイナンス的アプローチ)の助言もいたします。