2026/02/04

103万円の壁はどう変わる?

令和7年度分の確定申告から、所得税の仕組みが大きく見直されます。
当社にもすでにご相談が増えており、「今年は何を確認したらいいのか」と不安の声を多くいただきます。

今回の税制改正は、これまでのような控除額の微調整ではありません。
家計の手取り、配偶者の働き方、経営者の役員報酬の考え方まで広く影響する“本質的な変更”です。

特に影響が大きいのは以下のような層です。

  • パート収入のある配偶者を持つ家庭
  • 従業員・家族へ給与を支払う個人事業主
  • 小規模法人の経営者
  • 子育て世帯
  • いわゆる「103万円の壁」を意識して働いていた方

多くの方に共通するテーマが、“配偶者控除の考え方が根本から変わる”という点です。

基礎控除が大幅拡大へ

まず大きなポイントが、所得に応じて 基礎控除が48万円 → 最大95万円まで増える ことです。
基礎控除はすべての納税者が使えるため、多くの家庭にメリットがあります。

控除額が増えるということは、同じ収入でも 課税所得が減り、結果として税負担が軽くなる方向に働くということです。

給与所得控除もアップ

給与所得控除(給与に自動的に適用される控除)も 55万円 → 65万円へ拡大

これは役員報酬にも適用されるため、経営者自身にとっても恩恵があります。

「103万円の壁」から「160万円前後」へ

今回の改正でもっともインパクトが大きいのがこの点です。

従来:

  • 103万円以下 → 配偶者控除
  • 103〜201万円 → 配偶者特別控除
    この「103万円の壁」を意識してパートの時間を調整する方が多くいました。

しかし2025年以降は、
✔控除の対象範囲が大幅に拡大
✔160万円前後まで控除の恩恵が及ぶケースも増加

といった状況になります。

給与所得控除の引き上げ、基礎控除の拡大、所得計算式の変更が重なることで、いわゆる「壁」が実質的に薄くなるのです。

注意点:社会保険の“130万円の壁”は変わらない

税金上の扶養は広がりますが、社会保険の扶養はこれまでどおり。

  • 年収130万円未満
  • 労働時間が正社員の3/4未満

などの従来基準は変更されません。

つまり2025年度は、税金の扶養は広く、社会保険の扶養は従来どおり。
この“ねじれ”が判断を難しくしています。

前編では制度の全体像を整理しました。
後編では、確定申告で特に注意したいポイントや「控除漏れ」を防ぐチェック項目を詳しく解説します。