2026/06/12

【前編】役員借入金が増え続ける会社は危険?中小企業が見落としやすいリスクとは

「気づいたら役員借入金が何千万円にもなっていた…」
これは中小企業の経営相談で、実際によくあるケースです。

特に創業期や資金繰りが厳しい時期は、社長個人のお金で会社を支える場面も多く、役員借入金そのものが悪いわけではありません。


しかし、その状態が長期間続いている場合は注意が必要です。

当事務所でも、
「銀行から決算書を指摘された」
「相続対策で問題になると言われた」
「このままで大丈夫なのか不安」
というご相談が増えています。

役員借入金は便利な資金調達手段である一方、放置すると“経営上の火種”になることもあります。
今回は前編として、役員借入金の基本と、増えすぎることで起こる代表的なリスクについて解説します。


■ 役員借入金とは?

役員借入金とは、簡単に言えば「社長や役員が会社へ貸しているお金」 のことです。

例えば、

・創業時に個人資金を入れた
・会社の資金不足を立て替えた
・役員報酬を受け取らず運転資金に回した

こうしたケースでは、会社側の帳簿では「役員から借りているお金」として処理されます。

銀行融資と違い、審査も不要で返済期限も柔軟。そのため、中小企業では非常によく使われています。


■ 「多すぎる」の基準は?

実は、「役員借入金はいくらまでなら安全」という明確な基準はありません。

ただし、次のような状態は注意が必要です。

・毎年増え続けている
・返済計画が存在しない
・自己資本より借入金の方が大きい
・年商に対して過大になっている

特に問題なのは、
返す予定が曖昧なまま積み上がっている状態” です。税務署や金融機関は、「本当に借入なのか」を見ています。


■ 相続時に思わぬ負担になることも

意外と見落とされがちなのが、相続の問題です。

役員借入金は、社長個人から見れば「会社への貸付金=財産」です。
つまり、経営者が亡くなった場合、その貸付金は相続財産として扱われる可能性があります。

例えば会社に現金がないにもかかわらず、帳簿上だけ多額の役員借入金が残っているケースでは、「相続税は発生するのに、現金化できない」

という事態も起こり得ます。

これはご家族にとって大きな負担になるため、早めの対策が重要です。


■ 銀行評価にも影響する

役員借入金は、会社の決算書上では“負債”です。

つまり、金額が大きすぎると、

・財務体質が弱い
・資金繰りが不安定
・経営管理が曖昧

と判断される可能性があります。

特に金融機関は、「会社と社長個人のお金が混ざっていないか」
を非常に重視しています。

個人口座から頻繁に立替をしていたり、役員報酬の未払いが常態化している場合は、管理体制への不安材料になりやすいのです。


まとめ

役員借入金は、使い方を間違えなければ有効な経営手段です。
しかし、“積み上がったまま放置”してしまうと、税務・相続・融資のすべてに影響する可能性があります。

後編では、役員借入金を減らす具体的な方法や、実際に検討される対策について分かりやすく解説します。