2019/08/03

借入金の返済が出来ない時のこと

事業者、特に中小事業者にとって事業を推進する上で必要となる資金調達は、銀行借入金による場合が多いかと思います。銀行借入金が問題なく返済できている場合には、問題はありませんが、外部的な要因などで返済が出来なかった場合には、借入金の条件変更を依頼することは、事業主にとって、大変なストレスとなります。

平成21年12月4日に「中小企業者に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(金融円滑化法)が施行され、平成25年3月31日に終了をしました。金融円滑化法の目的は、リーマンショック後の資金繰りに窮している中小企業への貸し渋りや貸し剥がしに対する対策のためのものでした。これにより金融機関は、中小企業者や住宅ローンの借り手の借入金の返済条件変更等に対して出来る限り応じることに努めることになり、定期的に金融庁への報告を求めることにより、施策の実行性を高めました。

 

金融円滑化法が終了したことにより、金融機関の対応が変わることがないように、引き続き金融庁は、返済条件変更先についての定期的な報告を任意で求めていました。

中小企業者の場合の平成30年4月から平成31年3月末までの実績は、条件変更の申し込みが740千件に対して実行が721千件で97%が条件変更に応じています。この傾向は、平成25年3月以前と比較すると横ばいであり、終了による影響はないと考えられます。

また、2019年3月期を最後として先の金融庁への任意での報告も不要となったことから条件変更に応じなくなるのではないかと考える向きもありましたが、2019年8月現在では、特段の混乱もありません。

 

そもそも、金融機関は、金融円滑化法の施行前でも、条件変更にも応じていたし、今後も同様な対応を図ることは間違いありません。この円滑化法の功罪について語られますが、国が緊急的な対応として時限立法として進めてきたものです。功績の一例としては、再生を図る事業者の時間を作ることが出来たという点、罪としては、再生が出来ない事業者をも延命をすることができ、いわゆるゾンビ企業を増やしてしまった点です。

中小企業者としては、出来る限り返済を進めるためにも、事業を見つめなおし、事業計画として落とし込み、返済計画を策定をして、金融機関への説明を行い元金据え置きや少額での返済を行うことで、将来、借入金を返済していくことができることを示すことが必要です。

 

事業者が返済が出来なくなった場合には、我々は、経理代行サービスの一環として、経営改善計画を会社と共に作成をして、実行支援を行うことをミッションとしております。金融機関との調整に不安を感じられている場合や、計画策定の疑問点などありましたら、お問い合わせください。