減価償却とは、個人事業主や法人が資産を取得した際に、その購入費用を何年かに分けて分割計上する会計処理の方法です。減価償却は国税局の定める資産の耐用年数に応じて償却期間が設定されており、それぞれの資産に合わせて計算する必要があります。
前編では対象資産について解説してきましたので、後編では減価償却の計算方法について解説していきましょう。
減価償却の方法は「定額法」「定率法」「生産高比例法」「級数法」などが挙げられますが、一般的には「定額法」と「定率法」を選択するケースが多いので、今回はこの代表的な2つの計算方法について解説していきます。
定額法は毎年一定額を減価償却する方法です。
計算式は
「購入価格」×「定額法の償却率」
になります。
耐用年数が何年かは物品によって異なり、国税庁から主な減価償却資産の一覧が提示されているので確認しておきましょう。
定額法で減価償却を行うと、毎年同じ金額を計上していくので計算が容易で、経営計画が立てやすいのが特徴です。また個人事業主の場合、税務署に届け出ない限りはこの定額法で減価償却を行います。
定率法は期首の未償却残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法です。未償却残高が高い取得事業年度に近いほど計上できる償却費が多くなります。
計算式は
「期首の未償却残高」×「改定償却率」
になります。
減価償却の定率法には「旧定率法」「250%定率法」「200%定率法」の3種類があり、減価償却する資産を取得した時期により適用する償却率は異なります。それぞれの償却率の適用時期について紹介していきましょう。
【旧定率法】 平成19年3月31日までに取得した減価償却資産
【250%定率法】平成19年4月1日〜平成24年3月31日までに取得した減価償却資産
【200%定率法】平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産
このように、取得時期によって償却率が異なりますので、取得した物品の種類だけでなく取得時期についても調べておく必要があります。
減価償却が完了したら仕訳を行う必要があります。仕訳には「直接法」と「間接法」の2種類があるので、それぞれの方法について解説していきましょう。
直接法は減価償却費を固定資産より直接差し引く仕訳方法です。借方科目には「減価償却費」を、貸方科目には「固定資産」を記入します。この際、借方と貸方どちらの科目も同じ金額を記入します。
借方…減価償却費 100,000円
貸方…備品 100,000円
間接法は、直接法のように固定資産から減価償却費を減らすのではなく、借方科目に「減価償却費」を設け、貸方科目に「減価償却累計額」を設けます。
借方…減価償却費 100,000円
貸方…減価償却累計額 100,000円
減価償却は減価償却資産を取得した場合に避けて通れない会計上の手続きです。これは法人でも個人事業主でも適用される基本的な処理です。法人の場合、減価償却は財務報告にも大きな影響を与えますので、財務諸表における記録やその意味にも精通しておくことが重要です。 永井会計事務所では減価償却などの会計業務に関するサポートもさせていただいております。お気軽にご相談ください。