2018/06/03

会計の限界について

事業や会社の買収をして事業や会社を取得すると、会計上、資産と負債の差額である純資産が事業価値とされるのではなく、実際には、純資産以上の額で譲渡が行われます。例えば、帳簿上200円の価値のある事務所などの固定資産を有する企業を300円で買う人がいた場合、購入者は、企業の価値を200円以上とみているということです。事務所を所有することで将来100円以上の収入があると考えたからです。この200円と300円の差額を営業権として会計上処理をすることになります。この会計上の純資産をこえる差額を超過収益力と言います。この超過収益力は、自社で計算することもできるが、価値の計算が多くの前提で計算することになるため主観的になるため制度上認められておらず、相手との取引時にのみ計上が認められているものです。

この、超過収益力を要素ごとに分解すると、人や特許、生産方法など、一義的に価値の算出が困難なものに分解されます。ある視点からは、企業の擁する人材は、企画カや開発カが目を見張るものと考えて、売上(利益)の成長性に貢献すると考えます。また、ある視点からは、企業の持つイメージが他の事業と結びつくと、現在の売上や利益の成長ヘ大きく貢献をするというシナジーを期待する場合もあるでしょう。このような場合、対象企業は、将来の成長を期待され、会計上の金額以上の評価額で譲渡されることになります。

通常、日々の業務改善や、経営活動により超過収益力が増加していくので、それを会計的に測定、認識することは困難です。これが、会計の限界で、日ごろの記帳とは別次元の話です。換言すると、従業員のやる気がなくなると企業の活力も減少してしまい、先ほどの超過収益力という点では、逆方向の負の作用となることになります。ゆえに、経営者は、人や現場のノウハウや知財といった会計で一義的に処理できない事象に意識を集中しなければなりません。

 

そもそもの会計の限界(お客様へのお願い)

我々は記帳代行日常的な業務として行っています。領収書や請求書などの証憑を見ると内容をある程度推測することができます。また、お付き合い長いお客様の場合には、過去の実績が積み上がり、特に詳細な情報がない中で必要な対応をとることが可能な場合もあります。しかし、本来は、お客様が行う経理を代理で実行するのが経理代行であるので、顧客からの指示がなければ記帳代行は困難です。日々、忙しくされているお客さまは、詳細な取引内容の指示がなく資料を提出されることがありますが、基本的には、申請書や稟議書などで支出内容が明示されていないと、第三者は処理できなくなります。

記帳代行を依頼されるお客様には、社外の第三者が記帳をしていることを改めて理解していただき、十分に情報を伝達されるような仕組みづくりを、お客様と記帳を行う会計事務所は構築をしていくことになります。