2019/12/07

簡易課税 特例による事後申請

消費税の税率変更と軽減税率制度が令和元年10月1日から実施されて2か月経過をしました。今回の改正による実務上の煩雑さは覚悟をしていましたが、やはり、具体的な処理をしてみると、税率別に処理をすることの負担は少なくないのではないでしょうか。

消費税は、売上に係わる消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引き、売上に係わる消費税、すなわち仮受消費税を納付する制度です。仮払消費税は領収書などの支払い実績を処理をして集計する必要があり、税率別に実績集計が必要になるわけです。

しかし、事業者によっては、この実績集計が大変な場合もあり、この状況への対処として特例として簡易課税制度が設けられ、実際の課税仕入れ等を計算することなく、課税売上高から仕入額をみなして仕入税額計算をすることができるようになりました。

簡易課税を選択適用するための手続きは、原則事前申請であり、新規設立は初年度事業年度の終了前、それ以外の事業者は適用を受ける課税期間の開始の日の前日(通常は事業年度開始前)に申請書を提出しなければなりません。

今回の軽減税率制度の実施に伴い、複数税率となるために事後的に事務負担軽減のため、原則事前申請に対して届出期限について特例が設けられました。

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平成 31 年(2019 年)10 月1日から平成 32 年(2020 年)9月 30 日までの日の属す

る課税期間において、課税仕入れ(税込み)を税率ごとに区分して合計することが困難

な中小事業者は、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間中に簡易課税制度選

択届出書を納税地を所轄する税務署長に提出した場合、届出書を提出した課税期間か

ら簡易課税制度の適用を受けることができます(改正法附則 40①)。

なお、当該特例により簡易課税制度を適用する場合に提出する簡易課税制度選択届

出書は、平成 31 年(2019 年)7月1日から提出することができます(改正法附則1七

の二、40③)。

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となっています。事務負担を考慮し、簡易課税を検討してもよいのではないでしょうか。

また、上記とは別に、小売業、卸売業を対象とした特例も定められています。

課税期間の税込価額の合計額のうち軽減対象資産の税込価額の合計額の割合を小売等軽減売上割合(b)として計算をして、課税期間中の課税仕入の合計額(a)にこの小売等軽減売上割合(b)を乗じて計算した金額を課税標準として軽減税率を乗じた金額(A=(axb)x6.24/108)を軽減税率による仕入税額、それ以外の仕入税額(B=a(1-b)x7.8/110)を計算してその合計額(A+B)を仕入税額とする方法です。

経理代行業務でもどのような対応をするかシミュレーションにより事業主様と協議いたしますので、ご相談ください。